一般社団法人 日本医療協会
Japan Medical Care Association

急な腹痛の原因は?よくある病気とは

みなさん、急にお腹が痛くなった経験はないでしょうか?

外出中や仕事中などの場合、しばらく様子を見てよいのか、それともすぐに病院に行くべきか、判断に迷うことがあると思います。

ここでは内科外来でよく遭遇する病気を中心に見ていきましょう。緊急で処置を行わなければ命に関わる病気も含まれています。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌が胃や腸に感染することにより引き起こされる病気です。

ウイルス性胃腸炎は11月から3月にかけて発生するので、冬季嘔吐下痢症とも呼ばれています。流行することが多いので注意が必要です。成人で最も多いのはノロウイルスによるものです。

一方、細菌性胃腸炎は基本的には食事で起こる食中毒です。夏場に多く、同じ食事を食べた人が集団で同時に発生します。

ウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎について詳しく見ていきましょう。

ウイルス性胃腸炎(冬季嘔吐下痢症)

突然の嘔吐や下痢で始まり、毎年11月から3月の冬場に多く発生します。嘔吐と下痢の回数が非常に多いのが特徴で、すぐに脱水状態に陥ります。

1.原因

原因になるのは主にノロウイルスとロタウイルスです。

①ノロウイルス

ノロウイルスの流行時期は11月から2月あたりで、潜伏期間は2日前後です。幼児から成人まで幅広く感染します。

カキなどの二枚貝を食べて感染するほかに、感染した患者の便や嘔吐物、そしてこの便や嘔吐物が乾燥して舞い上がった粉塵からも感染を起こします。非常に感染力の強いウイルスです。

ノロウイルスには遺伝子構造の違う多くの種類があります。十二指腸から小腸上部でウイルスが増殖するのが特徴です。

予防ワクチンはありません。

②ロタウイルス

ロタウイルスの流行時期は1月から3月あたりで、潜伏期間は2日前後です。乳幼児の感染が主なので注意が必要です。

感染経路は接触感染、特に糞口感染です。

乳幼児がロタウイルスに感染すると重篤化する危険性があります。地域差はありますが、毎年世界で数十万人が亡くなっています。

近年はロタウイルスワクチンが普及してきています。

2.症状

ノロウイルス感染症とロタウイルス感染症では若干症状の違いがあります。便が白ければロタウイルスの可能性が高くなります。

突然の嘔吐や下痢で始まり、しばしば発熱を伴い、脱水症状を引き起こします。下痢は少し遅れて出ることが多く、回数が増えるにつれ徐々に水様便になります。

3.治療

ノロウイルスとロタウイルスには特効薬がないため、基本的には対症療法を行います。食事制限による胃腸への負担の軽減と、失われた水分の補給が中心になります。

なお、下痢が激しいからといって下痢止めを使用するのは推奨できません。なぜなら、体は自然な防御反応としてウイルスを排出しようと頑張っているので、それを止めると逆に治癒が遅れてしまいます。

嘔吐と下痢が続いて水分が摂取できない場合は、内科を受診してください。

4.予防

①ノロウイルス

ノロウイルスにはワクチンはありません。手洗いが最も大切です。

カキなどの二枚貝を調理する際は、しっかりと中心部まで加熱しましょう。

ノロウイルスにはアルコールが効きません。使った調理器具や汚染された物は、次亜塩素酸ナトリウムか熱湯(85℃以上で1分以上)で消毒してください。

②ロタウイルス

ロタウイルスワクチンは任意接種です。注射ではなく、経口投与、つまり口から接種します。ちなみに生ワクチンです。

単価ワクチンでも5価ワクチンでも大きな違いはありません。かかりつけの小児科で受けましょう。

細菌性胃腸炎

細菌性胃腸炎は基本的には食事で起こる食中毒です。夏場に多く、食品が十分に加熱されていない場合や、料理人の手や調理器具が汚染されていた場合などに起こります。

細菌が腸粘膜に侵入し増殖すると、細菌の出す毒素により粘膜が障害を受けて発症します。同じ食事をした集団が同時に感染することがあるので注意が必要です。

細菌性胃腸炎の原因になるのは、サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオなどです。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.サルモネラ

サルモネラは腸内細菌科に属すグラム陰性嫌気性杆菌です。主に人間、動物の消化管にいる腸内細菌ですが、なかには人間に対して病原性を持つものがあります。

人間に対して病原性を持つサルモネラは大きく二つに分類でき、一つは感染症法で3類に指定されている腸チフス・パラチフス、もう一つは食中毒を引き起こすサルモネラです。一般にサルモネラというときは後者の食中毒を起こす細菌のことを指します。鶏肉や卵で感染が起こりやすいといわれています。

①症状

8~48時間の潜伏期間を経て発症します。

嘔気や嘔吐で始まり、その後腹痛、下痢を引き起こします。下痢は非常に頻回で、脱水を起こしやすいので注意が必要です。ときに血便や38℃以上の高熱を呈すこともあります。

また高齢者では重篤になる場合があります。

②治療

基本的には対症療法を行います。

抗生剤は軽症例ではあまり使用しませんが、重症例では使用します。サルモネラに有効な抗生剤はアンピシリン、ホスホマイシン、ニューキノロン系です。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

次のことに気をつけてください。

生肉は他の食品に触れないようにしましょう。
生肉に触った後は必ず手を洗いましょう。
肉は加熱調理して食べましょう。
卵は冷蔵庫で保存し、早めに食べましょう。

2.カンピロバクター

カンピロバクターはもともと動物の腸炎や流産を引き起こす細菌として有名でした。カンピロバクターにはたくさんの種類があり、実はほとんどの動物が保菌しています。

人間の下痢から検出されるのはカンピロバクター・ジェジュニがほとんどです。鶏肉、生レバーなどで感染が起こりやすいといわれています。

①症状

2~5日の潜伏期間を経て発症します。潜伏期間が一般の食中毒に比べて長いのが特徴です。そのため食べたものとの因果関係がはっきりしないことがあります。

突然の腹痛、下痢で発症し、発熱と悪寒、倦怠感を伴います。下痢は水様便が最も多く、血便を呈することもあります。

また、まれですが感染から数週間後にギランバレー症候群を発症することがあるので注意が必要です。

②治療

基本的には自然治癒するので対症療法を行います。

重篤な場合や敗血症になった場合にはマクロライド系抗生剤を使用します。なお、セフェム系抗生剤には自然耐性があるので注意が必要です。ニューキノロン系に対する耐性化も問題となっています。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

次のことに気をつけてください。

カンピロバクターは乾燥に非常に弱いので、調理器具などはしっかりと乾燥させましょう。
生肉は他の食品に触れないようにしましょう。
生肉に触った後は必ず手を洗いましょう。
肉は加熱調理して食べましょう。

3.病原性大腸菌

大腸菌は基本的には無害ですが、なかには人間に対して病原性を持つものがあり、これを病原性大腸菌と呼びます。ただし、赤痢を起こす病原性大腸菌だけは赤痢菌と呼ばれ区別されています。

病原性大腸菌の中でもO157、O111などの腸管出血性大腸菌はベロ毒素を出すので重症化します。合併症の中で大事なのは溶血性尿毒症症候群です。命に関わる病気なので要注意です。ここでは腸管出血性大腸菌についてみていきます。

①症状

5日前後の潜伏期間を経て発症します。突然の腹痛、下痢が特徴です。

発熱は37℃台で、ほとんどの場合高熱にはなりません。

腹痛は非常に激しく、水様便を頻回に繰り返したあとに、約90%の症例で血便を呈するようになります。血便は初めは少量ですが、徐々に増加し、典型的なものではほぼ血液が出るような状態になります。

発症後数日から2週間以内に溶血性尿毒症症候群や脳炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあるので十分に気を付けてください。

②治療

基本的には対症療法を行います。溶血性尿毒症症候群という怖い合併症を誘発する危険があるため、抗生剤の投与は推奨されていません。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

重症化すると命に関わるので、突然の腹痛と下痢が起こり、血便が多量に出るときはできるだけ早く病院に行きましょう。

③予防

次のことに気をつけてください。

生鮮食品は新鮮なものを購入し、早めに食べましょう。
生肉や魚、卵に触った後は手を洗いましょう。
適切に加熱調理してから食べましょう。
調理前後の食品を室温で長く放置しないようにしましょう。

4.黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌は人間の皮膚や鼻腔内に常在している菌です。常在している場所では影響を与えませんが、食品中で増殖するときにエンテロトキシンという毒素を生じるため食中毒を起こすことがあります。

不衛生な状態で加工されたおにぎりによるものが最も多く、仕出し弁当やケーキなどが原因になることもあります。

①症状

3時間前後の潜伏期間を経て発症します。

激しい嘔気・嘔吐や差し込むような腹痛、下痢が主な症状です。

エンテロトキシンの量によって症状の重症度が変わってきます。重症例では入院が必要になりますが、一般に予後は良好です。

②治療

エンテロトキシンに対する特効薬はないので、基本的には対症療法を行います。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

食品の冷蔵保存、調理前後の手洗いが大切です。調理前後の食品を室温で長く放置しないようにしましょう。

手指に傷や化膿している部位がある人は、絶対に素手で食品を扱ってはいけません。

5.腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオはビブリオ属に属す好塩性グラム陰性桿菌で、主に海水中に存在しています。腸炎ビブリオは溶血毒という毒素を作り出すため食中毒の原因になります。溶血毒には耐熱性溶血毒と耐熱性毒素関連溶血毒があります。

腸炎ビブリオに感染した魚介類を加熱せずに食べることで感染し発症します。感染部位は小腸がメインです。

①症状

腸炎ビブリオは6~12時間の潜伏期間を経て発症します。

激しい腹痛を伴う下痢が生じ、ときに血便を呈します。

通常は数日で回復しますが、免疫不全の方などでは重症化するので注意が必要です。

②治療

腸炎ビブリオは基本的には数日で自然に治癒するので、対症療法を行います。

なお、抗生剤を使う場合はニューキノロン系やホスホマイシンを使います。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

魚介類の冷蔵保存と、調理前後の手洗いが大切です。

十分な加熱により腸炎ビブリオは死滅します。適切に加熱調理してから食べましょう。

生食する場合は新鮮な魚介類を購入し、冷蔵保存して速やかに食べましょう。

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過敏性腸症候群

過敏性腸症候群はお子さんにも成人の方にもよく起こる病気です。

腹痛や腹部不快感を繰り返すことが特徴です。排便すると一気に腹痛が軽快することが多いようです。

1.原因

過敏性腸症候群の原因は不明なことが多く、病院で検査してもなかなか異常が見つかりません(基本的に器質的疾患はありません)。一時的な消化管運動の異常や腸管への負荷、心理的なストレスなどにより症状が引き起こされます。

また、感染性胃腸炎の後に生じることがあるので免疫との関連も考えられています。

2.症状

強い腹痛や不快感を繰り返し、下痢や便秘を起こします。排便によって症状は軽快します。

電車やバスの中で症状が起こると非常にやっかいです。

過敏性腸症候群は、6カ月以上前から症状があり、最近3カ月間は月に3日以上腹痛や腹部の不快感を繰り返している場合に疑われます。排便により症状が軽減する、発症時には排便頻度が変化する、便の性状が変化するなどの特徴があります。

3.治療

過敏性腸症候群には特効薬がないので対症療法を行います。

基本的には整腸剤が使われることが多く、腹痛に対しては腸管蠕動運動抑制薬が用いられます。感染性胃腸炎とは異なり下痢を止めても問題ないので、下痢止めの薬を内服することもあります。

また生活習慣の改善、心理的サポートも大事です。

過敏性腸症候群に似た症状を呈す病気にクローン病や潰瘍性大腸炎などがあるので、症状が長く続く場合は内科を受診しましょう。

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消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)

消化性潰瘍とは、胃や十二指腸の粘膜に炎症が起こり、粘膜表面にある粘膜固有層、粘膜筋板を超えて、さらに深い粘膜下層まで炎症が到達した状態を指します。

好発年齢は十二指腸潰瘍の方が若干若く、20歳から40歳くらいといわれています。一方、胃潰瘍は50歳代に起こりやすいといわれています。

1.原因

胃・十二指腸内で胃酸などの攻撃因子と粘液などの防御因子のバランスが崩れ、攻撃因子が優位に傾くことにより粘膜の炎症と障害が起こります。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍ともにヘリコバクター・ピロリ菌が最大の原因になっていることが最近の研究で分かっています。次に多いのが非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)であり、どちらも認めないときはさらなる原因の検索が必要となります。

2.症状

典型的な症例では心窩部痛(みぞおちの痛み)が生じ、さらに嘔気や胸やけなどの消化器症状がみられます。

一般に、十二指腸潰瘍は空腹時に痛みが強くなります。胃潰瘍では食後や夕食から時間が経過した夜間に症状が出ることが多いといわれています。

3.治療

胃酸分泌を抑制するために、プロトンポンプインヒビターやH2ブロッカーと呼ばれる薬剤の内服による保存的治療が行われます。NSAIDs内服中の場合は、薬の変更が必要です。

また最大の原因といわれるヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法も大きな効果を上げています。

心窩部痛がある場合はできるだけ早く内科を受診してください。放置すると消化管穿孔などの重篤な状態になる可能性があるので、早期発見・早期治療が重要です。

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急性虫垂炎

急性虫垂炎は一般には「盲腸」と呼ばれています。特に小中学生に多い病気です。乳児期では非常にまれですが、幼児期以降はしばしばみられます。

1.原因

虫垂は大腸にぶら下がっているひものような構造をしているので、便や異物が入り込んでしまうことがあります。そして、運悪く虫垂の入り口が詰まって閉塞し、細菌感染が起きた場合に急性虫垂炎を発症します。

2.症状

虫垂炎では発熱、嘔気、腹痛がみられます。

まずは気持ち悪さと吐き気で始まり、みぞおちに何となく痛みを感じます。これは虫垂に便や異物が詰まり、虫垂の内圧が上昇することによって生じる内臓痛といわれています。下痢や排尿障害が生じることもあります。

進行してくると持続性のある激烈な痛みに変わります。痛みは徐々にお腹の右下に集中してきます。

さらに進行すると虫垂に穴が開き、便や異物が腸の周りに出てしまい腹膜炎を併発します。腹膜炎になると命に関わることもあるので、早期に発見し治療を開始することが大切です。

虫垂炎には特徴的な所見があり、医師が必ず診るポイントの一つです。

マックバーニー圧痛点:マックバーニー医師が見つけたことからこの名前が付きました。

場所はおへそと右上前腸骨棘(腰の横にある出っ張った骨)を結んで、おへそから3分の2のところです。ここが虫垂のある位置です。虫垂炎ではこの部分に痛みや圧痛がみられます。

また、このマックバーニー圧痛点を手で軽く押したときに、押したときよりも離したときに痛みが強くなる場合は、腹膜炎を起こしていることが強く疑われます。

3.治療

虫垂は、以前は生理機能を持たない無用の長物とされ、お腹の手術の際には虫垂炎の予防目的に異常がなくても切除されていました。しかし最近では、虫垂はリンパ機能を持ち、腸の免疫の一部を担っているのではないかという説が有力で、虫垂炎になった場合でもなるべく切除せず温存する方針になっています。ただし、虫垂を切除しなければならない場合も多くあります。

・保存的治療

血液検査で炎症所見がそれほど強くない場合(発症早期のもの)は抗生剤投与と絶食による保存的治療が行われます。いわゆる「薬で散らす」という治療です。

・虫垂切除術

虫垂はなるべく温存したいものの、状態によってはそうもいきません。虫垂炎が進行している場合や腹膜炎を併発している場合には虫垂切除術が行われます。その他、虫垂に糞石がある場合や、進行が急速といわれる小児の場合、診断が難しい妊婦の場合なども手術の適応になることが多いでしょう。

また病状によっては先に抗生剤治療を行い、その後に手術を行うこともあります。

腹膜炎は命に関わる疾患です。盲腸を侮ってはいけません。腹痛が持続する場合は早めに内科を受診してください。

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胆石発作

急性胆嚢炎や胆管炎の原因にもなる胆石により、炎症を伴わずに痛みだけが生じた場合をいいます。胆石が胆嚢頸部(出口)や胆嚢管に嵌頓することで痛みが生じます。

1.原因

胆嚢結石や胆管結石が胆嚢頸部(出口)や胆嚢管に嵌頓することが原因です。

胆石の約7割がコレステロール石です。コレステロール石は、女性や高齢者、肥満の方、妊婦、過度なダイエットをしている方、脂質異常症の方などに生じやすいといわれています。

2.症状

食後や夜間に、心窩部痛~右季肋部痛、右背部痛が生じるというのが典型的な症状です。痛みは持続的で通常20分以上です。何時間も続くこともあります。

胆嚢炎や胆管炎になる前に対応すべき疾患なので、上記のような痛みがある場合は内科を受診してください。超音波やCT、MRIで診断することができます。

3.治療

胆嚢の動きを抑える抗コリン薬や、胆石溶解療法としてウルソデオキシコール酸という薬の内服で胆嚢炎を予防します。

痛みを繰り返す場合や、胆嚢炎を繰り返す場合は手術で胆嚢を摘出します。

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急性胆嚢炎

胆嚢に生じる急性の炎症性疾患であり、主に胆石を持つ方に突然生じる病気です。胆石とはコレステロールなどが原因でできる、石のように硬い物質です。胆嚢管(胆嚢の出口)が胆石で閉塞し、炎症が生じることで発症します。

1.原因

炎症の原因として以下の3つが考えられています。

細菌性炎症(大腸菌やブドウ球菌など)
胆嚢内圧が上昇し、胆嚢粘膜の虚血などで生じる機械的炎症
胆嚢に生じる局所組織因子で引き起こされる化学的炎症

また、肥満や脂質異常症がリスク因子になるといわれています。

2.症状

食後や夜間にみぞおちからお腹の右上(右季肋部)の痛みが生じるというのが典型的な症状です。発熱、寒気、嘔吐とともに痛みが生じます。右季肋部の肋骨を押しながら深呼吸や咳をしたときに痛みが強くなるようであれば急性胆嚢炎の可能性が高いので、すぐに内科を受診しましょう。これはMurphy(マーフィー)徴候と呼ばれる、特徴的な所見です。

3.治療

まずは絶食と、抗生剤を含む点滴などで保存的に治療します。75%程度の患者さんがこの保存的治療で軽快しますが、なかなか改善しない場合には経皮経肝胆嚢ドレナージ、穿孔の危険がある場合には緊急に胆嚢摘出術が行われます。

放置すると命に関わることもあるので、発熱と右季肋部痛がある場合は、すぐに内科を受診してください。

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急性胆管炎

急性胆管炎は胆管壁と胆管内腔に炎症が生じて起こります。

急性胆管炎の中でも胆管内腔に膿性胆汁を認める急性閉塞性化膿性胆管炎は、敗血症など非常に重篤な状態になりうる怖い病気です。

1.原因

胆嚢から十二指腸まで胆汁を運ぶ管を総胆管といいます。急性胆管炎は胆石が総胆管に落ちて総胆管が詰まってしまう総胆管結石症によって引き起こされることが多く、胆管内圧が上昇し、そこに細菌が感染することで発症するといわれています。

胆嚢の出口が詰まって起こる急性胆嚢炎と比べ、炎症が起こる範囲が広く重症化しやすい病気です。

2.症状

発熱、寒気、嘔吐とともに右季肋部と呼ばれるお腹の右上にある肋骨周囲に痛みが生じます。さらに全身が黄色くなる黄疸と呼ばれる特徴的な症状が出てきます。

これら発熱、右季肋部痛、黄疸の3つを合わせて、Charcot(シャルコー)3徴と呼び、医師が診断の目安にする特徴です。

症状が悪化すると意識障害やショックを引き起こすこともあるので注意が必要です。

3.治療

抗生剤の投与と緊急胆道ドレナージを行います。

ドレナージとは体の外に膿や血液などを出すことをいいます。胆道ドレナージには内視鏡を使用して行う方法と、皮膚を穿刺して行う方法の2通りがあります。通常は診断と治療の両方ができる内視鏡的経鼻胆管ドレナージが行われます。

発見が遅れると非常に重篤な状態になる可能性もあり、早期発見、早期治療が重要です。

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急性ウイルス性肝炎

急性ウイルス性肝炎はA型、B型、C型、D型、E型の5つの肝炎ウイルスや、EBウイルス、サイトメガロウイルスなどによって引き起こされる全身感染症です。

発熱、全身倦怠感など、かぜのような症状で発症し、腹部の鈍痛、黄疸などの症状が起こります。B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルスは慢性化すると最終的に肝硬変、肝癌を引き起こします。

ここでは代表的なA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスについて見ていきましょう。

そのほか、肝炎ウイルスには輸血によって感染するG型がありますが、これは肝炎を発症しないといわれています。

1.A型肝炎

急性ウイルス性肝炎の約30%を占めています。A型肝炎ウイルスは腸管で増殖するので糞便中に多く、糞便による経口感染(糞口感染)で感染が拡大します。衛生環境が整っているため日本では感染機会は少ないですが、海外渡航時に口にするものから感染する可能性があります。

①原因

A型肝炎ウイルスと呼ばれるRNAウイルスが原因になります。

②症状

4週間前後の潜伏期間を経て、かぜのような症状で発症します。その後、腹痛や嘔気、嘔吐などの消化器症状が出てきます。黄疸が出始めるとそれまでの自覚症状が徐々に引いてくるのが特徴のようです。

③治療

自然軽快するので特別な治療は必要ありませんが、安静と食事療法が非常に大切です。安静により肝臓の血流を増加させ、高カロリーの食事で肝細胞の回復を助けます。

まれに劇症化することがあるので、早期発見・早期治療が重要です。

2.B型肝炎

急性ウイルス性肝炎の20%から30%を占めるとされています。

感染経路は血液感染、母子感染、性行為感染ですが、最近では性行為による感染が増加しています。また、不衛生な環境での入れ墨やピアスの穴あけ、覚せい剤の回し打ちなどで感染することもあるといわれています。

針刺し事故での感染を予防するため、医療従事者はB型肝炎ウイルスワクチンの接種を行います。

①原因

B型肝炎ウイルスと呼ばれるDNAウイルスが原因になります。

②症状

症状はA型肝炎とほぼ同じで、症状から両者を区別することはできません。

4週間前後の潜伏期間を経て、かぜのような症状で発症します。その後、腹痛などの症状が出てきます。ときに発疹や筋肉痛も生じます。そして徐々に全身に黄疸が出始めます。

③治療

安静と食事療法が非常に大切です。安静により肝臓の血流を増加させ、高カロリーの食事で肝細胞の回復を助けます。

重症例には核酸アナログ製剤を投与します。

まれに劇症化することがあるので、早期発見・早期治療が重要です。

注射針などによる感染事故を起こした場合は、ただちにHBs抗体含有のヒト免疫グロブリン注射を行い、同時にB型肝炎ワクチンの接種を行うことが大事です。

3.C型肝炎

急性ウイルス性肝炎の約10%を占めています。

C型肝炎は主に血液を介して感染します。長い経過で肝硬変から肝癌になり、命に関わることもあります。不衛生な環境での入れ墨やピアスの穴あけ、覚せい剤の回し打ちなどで感染することもあるといわれています。

これまでの治療で効果がなかった方にも効果が期待できる経口新薬が2015年に登場しました。

①原因

C型肝炎ウイルスと呼ばれるRNAウイルスが原因になります。日本ではインターフェロンが効きにくい1b型が多いといわれています。

②症状

2か月前後の潜伏期間を経て発症します。A型肝炎やB型肝炎のように自覚症状が出ることは少ないといわれており、黄疸を呈する症例も少ないようです。

新薬が出るまでは、約70%前後が慢性肝炎に移行していました。

③治療

今まではインターフェロンによる治療が主でしたが、日本ではインターフェロンの効き目が少ない1b型が多く、また副作用のためにインターフェロンを使えない方もいて、治療が不十分な方がたくさんいました。

しかし、2015年に発売された新薬により、上記の方でもC型肝炎ウイルスを排除できる可能性が高くなりました。

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急性膵炎

さまざまな原因により膵臓の消化酵素が活性化され、膵臓自体を自己消化してしまう病気です。この膵臓の自己消化により生じる急性の炎症のことを急性膵炎と呼びます。

30歳から50歳代くらいの働き盛りの男性に多いといわれています。

1.原因

最も多い原因はアルコールの飲みすぎです。このアルコール性急性膵炎は全体の30%近くを占めるといわれています。2番目に多い原因が胆石で、胆石が膵管を閉塞することで生じます。そして、その次に多いのが特発性のものです。

2.症状

腹痛を訴えて受診される方が多く、心窩部(みぞおち)や背中にわたる痛みが生じます。胆道系の炎症と異なり、38℃以上の高熱が出ることはまれです。

重症化するとショックや意識障害、感染症、出血傾向、多臓器不全などを起こす非常に怖い病気です。

3.治療

絶食、安静が第一で、大量に点滴を行います。さらに呼吸や循環動態をしっかりと管理し、腹痛を緩和する鎮痛剤の投与を行います。また胃管を挿入することで胃液を適宜ドレナージし、H2ブロッカーなどで胃液分泌を抑えます。

重症化している場合には抗生剤投与、蛋白分解酵素阻害薬の大量投与も行います。

急性膵炎の腹痛は非常に激烈です。放置すると命に関わるので、早期発見・早期治療が重要になります。

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尿路結石発作

尿路に結石が詰まることで起こり、腹痛、側腹部痛、背部痛のいずれかで発症します。

男性に多く、好発年齢は男性が30歳から50歳、女性が50歳から60歳といわれています。

1.原因

結石が主に尿路の生理的狭窄部に詰まることにより起こります。

結石は、本来は尿中に溶解した状態で排出されるべき物質が結晶化し増大して形成されます。

2.症状

脱水時に症状が出現することが多く、朝方に激しい側腹部痛(疝痛発作)が生じることが多いとされています。疝痛発作時には、冷汗や吐き気、便秘の症状が同時に起こります。

尿検査で潜血反応があることや、超音波やCTで結石や尿路の拡張があることで診断できます。

3.治療

痛みを抑えるには非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)の坐薬を用います。

保存的に経過をみる場合は、排石を促進するために1日2L以上の飲水を推奨し、排石促進薬や漢方薬なども使用します。

10mm以上の結石は自然排石が期待できないので、体外衝撃波砕石術などで治療します。

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症状の緊急性を判定する

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