一般社団法人 日本医療協会
Japan Medical Care Association

子供の鼻血が止まらないときはどうすれば?

鼻血がなかなか止まらない、頻繁に鼻血が出る、朝起きると布団に鼻血がたくさんついていた、といった経験はないでしょうか?

お子さんが鼻血を出したとき、しばらく様子を見てよいのか、それともすぐに病院に連れて行くべきか、判断に迷うことがあると思います。

ここでは小児科外来で遭遇することがある以下の病気について見ていきましょう。

鼻粘膜の損傷(鼻いじり)

鼻いじりによる鼻出血は非常に多くみられます。特にアレルギー性鼻炎や鼻の中に炎症があるお子さんは鼻をいじりやすくなるため、鼻出血が繰り返し起こることがあります。

まれですが、大量に出血することがあるので要注意です。

1.原因

鼻の粘膜にはキーゼルバッハ部位と呼ばれる毛細血管の集まった場所があり、ここからの出血が多くみられます。

鼻の奥の動脈が損傷して出血することもあり、この場合なかなか出血は止まらないので緊急に耳鼻科を受診する必要があります。

2.症状

鼻出血が起こります。鼻を触ったときはもちろん、鼻をかんだときに起きたり、突然出血したりすることもあります。

3.治療

鼻出血が起きたときは、まずは圧迫止血を行いましょう。鼻翼圧迫法と呼ばれる方法が有効です。座った状態でやや前かがみにして、そのまま鼻翼(子鼻)をつまんで圧迫します。骨がある硬い部分ではなく、軟らかい小鼻の部分を広くしっかりと圧迫するのがポイントです。

10分以上経っても出血が止まらない場合は動脈から出血している可能性があるので、できるだけ早く耳鼻科を受診してください。

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鼻腔内異物

鼻腔内異物とは文字通り鼻の中に詰まった異物のことです。異物が鼻腔をふさいでしまうので鼻づまりを起こします。

小児科ではときどき見かけるものです。

1.原因

さまざまなものが鼻腔内異物になりえます。多いのは豆類、小さなおもちゃ、消しゴムのかけらなどです。

2.症状

基本的に片側の鼻づまりを生じ、時間が経過すると悪臭を伴うことがあります。

また、異物が鼻粘膜を傷つけるために鼻出血を生じることもあります。

3.治療

異物がない方の鼻の穴を閉じて鼻をかむようにすると取れることがあります。

鼻の奥に入ってしまった異物はご自宅ではなかなか取れないので、早めに耳鼻科を受診しましょう。

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アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は鼻粘膜でアレルギー反応が起こることによって生じます。

アレルギーの形態は即時型と呼ばれるⅠ型アレルギーです。同じⅠ型アレルギーであるアレルギー性結膜炎や気管支喘息、アトピー性皮膚炎の合併がしばしば見られます。

1.原因

アレルギーの原因になる物質のことをアレルゲンといいます。アレルギー性鼻炎を引き起こすアレルゲンはたくさんありますが、一般的に多いのはホコリ・ダニなどのハウスダスト(通年性アレルギー性鼻炎)と、スギ・ヒノキなどの花粉(季節性アレルギー性鼻炎)です。

2.症状

アレルギー性鼻炎の3大症状は鼻水・鼻づまり・くしゃみです。

夜間のいびきや日中の開口、鼻出血などの症状で鼻炎に気づくこともあります。

鼻水は副鼻腔炎でみられる黄色い鼻水とは異なり、無色透明のお水のような鼻水です。

アレルギー性鼻炎の症状は非常にやっかいで、日常生活に大きな影響を与えることがあるので要注意です。

3.治療

アレルギー性鼻炎の治療の基本はアレルゲンをなるべく避けることです。

対症療法としては、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服や点鼻薬による治療が行われます。

鼻水・鼻づまり・くしゃみの症状が続く場合は耳鼻科や小児科を受診しましょう。副鼻腔炎を合併することもあるので注意が必要です。

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鼻中隔彎曲

ほとんどの人の鼻中隔はある程度曲がっています。鼻中隔彎曲は、鼻が詰まってしまうほど異常に鼻中隔が曲がった状態を指します。

1.原因

骨よりも軟骨の方が成長することにより、歪みが生じ曲がってしまうとされています。

また、顔面骨が頭蓋骨に比べて早く発達した場合に起こりやすいともいわれています。

2.症状

基本的に片側の鼻づまりを引き起こします。

曲がって突出した部分は刺激を受けやすいため、鼻血が出やすくなることもあります。

3.治療

症状が強い場合は大人になってから手術を行います。

鼻水を伴わない鼻づまりをお子さんが訴えたときは、一度耳鼻科を受診してみましょう。

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再生不良性貧血

再生不良性貧血は骨髄に異常が生じ、赤血球・白血球・血小板のすべてが減少する病気です。

発症時期により先天的なものと後天的なものに分けられます。

先天的なものは8歳前後までに発症し、Fanconi貧血が有名です。Fanconiというのはこの病気を初めて報告したスイスの小児科医の名前に由来しています。

1.原因

先天性のFanconi貧血:遺伝子疾患の一つで、DNA修復に関わるたんぱく質に遺伝的な異常が生じることにより発症します。

後天性:特発性(原因不明なもの)と続発性に分けられます。

続発性のものは、ウイルス感染や、化学物質、薬剤などにより引き起こされます。

2.症状

再生不良性貧血の初期症状は鼻出血、歯茎からの出血、皮膚のあざなどの出血傾向です。

赤血球も減少するので全身への酸素供給ができなくなり、倦怠感や息切れ、耳鳴りなどの貧血症状も生じます。

中枢神経系の出血の場合は少量でも命に関わることがあるので注意が必要です。

なお、血球が全体的に減少していても特に症状が現れず、病識がなく元気なこともあります。

3.治療

先天性のFanconi貧血:造血幹細胞移植が唯一の治療法です。拒絶反応を起こさないようにするために、HLAというヒト白血球抗原が一致する血縁者から移植を受けるのが最もよいといわれています。

なお、乳幼児期に移植を受けた場合、一連の治療の後遺症として低身長となることがあるため、一定の年齢に達するまではたんぱく同化ホルモン治療が行われることもあります。

後天性:免疫治療と造血幹細胞移植が治療の中心になります。

鼻血が頻回に起こったり、ぶつけていないのに体にあざができやすくなったりしたときは早めに小児科を受診しましょう。場合によっては大学病院などの専門機関に紹介になります。

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急性白血病

小児白血病は小児がんの中では最も多く、年間700人前後の方が発症しています。発症のピークは4歳前後といわれています。

小児白血病の約70%は急性リンパ性白血病で、約25%は急性骨髄性白血病です。

昔と比べ長期生存率は高くなってきていますが、依然として命に関わる病気であることに変わりはありません。

1.原因

急性白血病の原因はまだはっきりしていませんが、染色体や遺伝子の異常が積み重なり発症するといわれています。放射線や化学物質の暴露が関与することもあります。

2.症状

白血病に特有の症状はありません。発熱や出血傾向、貧血による体調不良、関節痛などの症状が出てきます。

なかには全身の疲労感や頑固なかぜ症状があるため病院を受診し、検査で偶然発見されるものもあります。

3.検査

血液検査と骨髄穿刺を行い、確定診断を行います。

小児の骨髄穿刺は大人と違い、胸ではなく主に腰付近で行います。腫瘍細胞が骨髄細胞のうち20%以上を占めていれば白血病と診断できます。

4.治療

小児白血病の治療は多剤併用の抗がん剤を用いた化学療法が中心になります。

近年では生存確率が向上してきましたが、それでも命に関わる重篤な病気です。

鼻血や紫斑などの出血傾向により起こる症状で気づかれることもあるので、鼻血が続いて止まりにくかったり、あざがたくさんできたりする場合は早めに小児科を受診してください。場合によっては大学病院などの専門機関に紹介になります。

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特発性血小板減少性紫斑病

小児における特発性血小板減少性紫斑病は、ウイルス性発疹やかぜからの回復後に急激に発症します。小児では免疫が関係する血小板減少症の大部分がこの特発性血小板減少性紫斑病です。鼻血などの出血傾向がみられますが、治療により多くの場合は6ヶ月前後で回復します。

1.原因

血小板を攻撃する自己抗体が生じて脾臓で血小板を壊すために発症するといわれています。なぜこのような免疫異常が起こるのかは、まだ分かっていません。

最近の成人での研究で胃に潜むピロリ菌が特発性血小板減少性紫斑病に関係しているといわれており、ピロリ菌陽性の場合にはピロリ菌の除菌が行われています。ただし、小児での検討ではピロリ菌の関与は少ないとされています。

2.症状

鼻血や歯茎からの出血、皮膚における斑状出血など、全身で出血傾向がみられます。消化管での出血も起こるので、血便や黒い便が出ることがあります。

3.治療

血小板数や症状に応じて大量ガンマグロブリン療法やステロイド治療が行われますが、血小板増加が速やかな大量ガンマグロブリンがよく行われています。治療後も再度血小板低下を認めることがありますが、多くは6か月以内に治癒します。

それらの治療がうまくいかず症状が数年にわたって持続する場合は、自己抗体が血小板を攻撃する場所である脾臓そのものを手術で摘出することもあります。

お子さんが鼻血をよく出したり、皮膚に出血のあざができやすかったりする場合は、早めに小児科を受診しましょう。場合によっては大学病院などの専門機関に紹介になります。

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症状の緊急性を判定する

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