一般社団法人 日本医療協会
Japan Medical Care Association

子供が耳を痛がったり、気にしたりしていませんか?

お子さんが耳を痛がったり、耳を気にしたりすることはないでしょうか?

発熱を伴う場合など、しばらく自宅で様子をみてよいのか、それともすぐに病院に連れて行くべきか、判断に迷うことがあると思います。

ここでは小児科外来で遭遇することがある以下の病気について見ていきましょう。

急性中耳炎

急性中耳炎は鼓膜の内側の空間である中耳に炎症が起きた状態で、3歳以下の乳幼児に非常に多くみられる病気です。3歳までに7,8割のお子さんが経験するといわれています。

乳幼児は症状を訴えることが難しく、また中耳は体の外から直接見ることができないので、病気の発見が遅れてしまうことがよくあります。3歳前後までのお子さんが発熱した場合、保護者の方は急性中耳炎を頭に入れておく必要があります。

1.原因

基本的には、上気道炎を引き起こすインフルエンザ菌や肺炎球菌が原因になります。その他、ウイルスによるものもあります。かぜと前後して起こることが多くあります。

ちなみにインフルエンザ菌とインフルエンザウイルスは、同じ名前ですがまったく違う微生物なので間違えないようにしてください。

2.症状

発熱、耳を痛がる、耳を気にする、耳だれ(耳から液体が垂れる)などの症状が多いようです。ただし耳の痛み、耳だれなどの症状が出ているときは既に炎症が広がってしまっていることがほとんどです。

小さなお子さんは耳の痛みを訴えることができない場合も多いので、耳を気にする、耳に触れると泣くなどのサインを見落とさないようにしましょう。

3.治療

軽症例では保存的治療を行います。「保存的」とは外科的な処置や手術を行わないという意味です。発熱が長期間持続する場合や、全身状態が悪い場合には入院治療が必要になります。

膿がたくさん溜まっている場合は鼓膜切開を行うことがあります。最近では抗生剤に耐性を持つ菌の存在が確認されているので、積極的に鼓膜切開を行って排膿する方がよいという意見もあります。排膿するだけで解熱することも多いようです。

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急性外耳炎

急性外耳炎は、細菌や真菌が外耳道の皮膚に感染し炎症を起こした状態です。

外耳道とは耳の穴から鼓膜までの部分を指します。約3cmの管です。外耳道は構造上、外側の軟骨部と内側の骨部に分けられます。軟骨部は厚い皮下組織に皮脂腺などがあり、骨部は薄い皮下組織を介し骨膜に接しています。

軟骨部で細菌感染が起こると局所的な化膿性炎症が生じます。これは耳癤(じせつ)と呼ばれ、皮膚にできる「おでき」のようなものです。骨部での感染はあまり多くありませんが、薄い皮下組織に広がりびまん性の化膿性炎症を生じます。

1.原因

細菌感染が主で、原因菌としては黄色ブドウ球菌が多いといわれています。

基本的には、かゆみの症状があるときにお子さんが指や爪で外耳道をひっかいて傷ができ、そこに細菌が感染して炎症が起こります。

2.症状

急性外耳炎では耳のかゆみが先行することが多く、その後で耳の痛みや耳だれなどを生じます。症状の特徴は耳が何かに触れると激痛を感じることです。洋服を着るときに服が耳に触れるだけで激痛を生じます。

触ると痛みが強くなるのが外耳炎と中耳炎の違いです(中耳炎では触っても触っていなくても痛がります)。

乳幼児はなかなか症状を訴えることができません。よく耳を気にしていたり、耳を触ると痛がり機嫌が悪くなったりすることが発見の手がかりになります。普段から注意深く観察しましょう。

3.治療

軽症例では自然治癒が期待できますが、なかなか症状が改善しない場合は早めに耳鼻科を受診しましょう。

基本的には抗生剤での治療になりますが、痛みが強く自壊しない耳癤の場合には切開し排膿を行います。

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流行性耳下腺炎

流行性耳下腺炎は小児で好発するウイルス感染症です。特に3歳から6歳の子供に多くみられます。

一般的には「おたふくかぜ」と呼ばれよく知られていますが、実はさまざまな合併症を起こして後遺症が残ることもある恐ろしい病気です。

学校保健安全法の第2種に指定されているので、感染した場合は出席停止となります。

1.原因

流行性耳下腺炎の原因はムンプスウイルスの感染です。ムンプスウイルスはパラミクソウイルス科のウイルスです。

2.感染経路

流行性耳下腺炎の感染経路は飛沫感染と接触感染です。

乳幼児には衛生意識がなく、さらに遊びの中で濃厚に接触するため、保育園などの乳幼児が集団生活する場所では特に注意が必要です。

飛沫感染:くしゃみや咳によって口から飛び出す飛沫にはウイルスが混入しています。このウイルス付きの飛沫が他人の口や鼻の粘膜に到達することで感染が成立します。

接触感染:感染者との直接的な接触や、ウイルスの付着した物(手すりやドアノブ、ボタン・スイッチなど)を介しての接触により感染が起こります。

3.症状

2~3週間の潜伏期間を経て、耳下腺の腫れと発熱で発症します。

耳下腺の腫れは柔らかく、痛みを伴うことが特徴です。耳下腺は左右両方が腫れることも、どちらか一方が腫れることもあります。耳下腺だけでなく、顎下腺や舌下腺も腫れることがあります。

お子さんが耳の痛みを訴えた場合は、耳下腺(耳の下辺り)の腫れがないかどうかを確認しましょう。

4.合併症

流行性耳下腺炎はさまざまな合併症を起こすので注意が必要です。髄膜炎、難聴、精巣炎が重要です。

無菌性髄膜炎:最も多い合併症で、頻度は約10%です。典型的な症状は、発熱、頭痛、嘔気、項部硬直です。項部硬直とは患者の首を他動的に前屈させたときに、痛みで筋肉が緊張し、顎が胸につく前に曲がらなくなることをいいます。

難聴:頻度は低いものの、永続的な障害を残すこともある怖い合併症です。

精巣炎:中学生以降の男性が流行性耳下腺炎にかかった場合、25%前後で発症するという報告があります。ほとんどは左右どちらか片方です。精巣が腫れて痛みを生じます。

思春期以降に精巣炎を合併すると精子形成能が低下しますが、不妊になるのはまれといわれています。

5.治療

ムンプスウイルスに対する特効薬はないので、対症療法を行います。

通常は1週間前後で軽快しますが、合併症に注意が必要です。お子さんの様子を注意深く観察し、普段と変わったことがあればすぐに小児科を受診してください。場合によっては大学病院などの専門機関に紹介になります。

学校保健安全法では出席停止期間を「耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が出現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」と定めています。

6.予防

流行性耳下腺炎の予防にはムンプスワクチンの接種が有効です。生ワクチンなので、ワクチン後は副反応に注意しましょう。

ムンプスワクチンは1歳から接種できます。任意接種です。

1回接種よりも2回接種の方が有効性は高いとされており、海外では2回接種を行う国の方が圧倒的に多くなっています。

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