一般社団法人 日本医療協会
Japan Medical Care Association

子供の声がかすれた場合の原因は?

お子さんの声が突然かすれてしまったことはないでしょうか?

しばらく様子を見てよいのか、それともすぐに小児科に連れて行くべきか、判断に迷うことがあると思います。

多くの場合、声のかすれは声帯に何らかの炎症が生じていることを意味します。

ここでは小児科外来で遭遇することがある以下の病気について見ていきましょう。緊急に治療が必要なものもあるので注意が必要です。

クループ症候群

クループ症候群は、特徴的な咳と、息を吸った時の喘鳴、かすれ声などの症状を呈する病気の総称です。

クループ症候群の中で最も多いのがウイルス性クループです。3歳以下の乳幼児に起こりやすく、独特の症状がみられます。

ウイルス性クループ

1.原因

パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、エンテロウイルスなどの感染が原因であると考えられています。

2.症状

2日前後の風邪のような症状の後でゆっくりと発症します。声門や声門下部の狭窄が起こり、クウォクウォとオットセイが鳴くような咳(医学的には犬がケンケンと鳴く犬吠様咳嗽といいます)、息を吸った時の喘鳴、かすれ声などの症状を呈します。

声門下部は、乳幼児では正常時でも狭いところなので、炎症によってむくみが生じると容易に狭窄してしまいます。

3.検査

画像診断は首のレントゲン写真で行います。気道が正面像でペンシル様、またはワインボトル様になります。また側面像では下咽頭腔の拡張を認めます。

4.治療

ウイルスに対する特効薬はないので、基本的には対症療法を行います。

気道の狭窄に対して、アドレナリンの吸入を行います。またステロイドの経口投与や、細菌の混合感染を考慮して抗生剤の投与が行われることもあります。

かぜの後に奇妙な咳をし始めたら、できるだけ早く小児科を受診してください。

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急性喉頭蓋炎

急性喉頭蓋炎はまれではありますが、急速に進行し命に関わる怖い病気です。よだれを出して非常に苦しそうな顔をするので、すぐにおかしいことが分かります。

窒息する可能性があるので、夜中でもすぐに小児科や耳鼻科、救急科を受診しましょう。

1.原因

乳幼児の急性喉頭蓋炎や髄膜炎を起こすのはインフルエンザ菌b型(Hib)です。インフルンザ菌は、正確にはヘモフィルス・インフルエンザ桿菌(Haemophilus Influennzae)といいます。

インフルエンザ菌は主に上気道などの呼吸器や中耳に感染する細菌です。ただし、10%前後のお子さんは自然に持っている常在菌です。最近ではHibワクチンによりインフルエンザ菌b型感染は減少傾向にあります。

インフルエンザ菌とインフルエンザウイルスはまったくの別物です。間違えないようにしましょう。

2.症状

急性喉頭蓋炎は急速に発症し進行するのが特徴です。

声門上部・喉頭蓋に炎症が起き、腫れてきます。急激に気道が狭くなるので、よだれを出して非常に苦しそうな顔をするようになります。呼吸が苦しくなると、お子さんは前かがみになり、あごを出して口を開けて肩でぜいぜいと息をするので、見てすぐに異常なのが分かります。気道が閉塞すると窒息状態に陥ります。

3.診断

急性喉頭蓋炎は首のレントゲン写真や内視鏡で診断します。

レントゲン写真では側面像で喉頭蓋が親指状に腫れているのが分かることがあります。これをサムサイン(thumb sign)と呼びます。親指サインのことです。

4.治療

呼吸の管理が重要です。気管内挿管や気管切開を行うこともあります。

原因はインフルエンザ菌なので、セフェム系抗生剤を投与します。

急性喉頭蓋炎は命に関わる救急疾患なので、すぐに小児科や耳鼻科を受診しましょう。診療時間外でも救急病院を受診してください。

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やけどによる気道熱傷

やけどによる気道熱傷は窒息につながる非常に怖い病気です。

昔は小児のやけどで多かったのは熱湯のお風呂に入って起こす全身熱傷でしたが、最近では熱い味噌汁などのスープ類や熱い飲み物による比較的狭い範囲のやけどが多くみられます。やけどがのどまで及んだ場合は緊急度が増します。

1.原因

気道熱傷の原因は熱湯や火の粉、煙などです。

2.症状

のどをやけどすると気道がむくんできて、声帯にも炎症が生じ、だんだんと声がかすれていきます。気道が閉塞し窒息する危険性が非常に高い状態なので、緊急な対応が必要です。

3.治療

気道熱傷が確認された場合は、すぐに気管挿管を行うことがあります。

気道熱傷が起きているときは、ほとんどの場合で体のどこか他の部位にもやけどを負っているはずです。気道熱傷を疑ったり早期に発見したりする手がかりになるので見逃さないようにしましょう。

やけどを起こして声がかすれるようなときは、できるだけ早く大きな病院の小児科を受診しましょう。時間外の場合も必ず救急科を受診してください。

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乳児のボツリヌス中毒(乳児ボツリヌス症)

乳児のボツリヌス中毒は、まれですが命に関わる非常に怖い病気です。

一般的なボツリヌス毒素中毒とは違い、乳児がボツリヌス菌芽胞を摂取、これが腸管で発芽して生じる毒素で起こるといわれています。

1.原因

ボツリヌスA型菌、B型菌、C型菌による毒素が報告されています。非常に強い神経毒素です。

1986年に千葉県で報告されて以降、ハチミツが原因の一つとして注目されています。乳児にハチミツを与えてはいけない理由は、ハチミツがボツリヌス菌に汚染されている可能性があるからです。

2.症状

乳児ボツリヌス症の初期症状は便秘です。便秘が数日続き、徐々に全身の筋力が低下してきます。首の筋力低下が顕著で、頭を支えられなくなります。また、声がかすれて呼吸ができなくなってきます。

便からボツリヌス菌が検出されるので、二次感染に注意する必要があります。

3.治療

基本的には入院での治療が必要になります。呼吸管理が大切です。

多くの場合、抗生剤を使用すると体内でのボツリヌス菌が破壊され、吸収される毒素が増加する可能性があるため、抗生剤は使用されません。

乳児は自分の症状を伝えることができないので症状から疑う必要があります。おかしいと感じたら早めに小児科を受診しましょう。場合によっては大学病院などの専門機関に紹介になります。

4.予防

乳児、特に離乳前の乳児は腸管の細菌叢が不安定でボツリヌス菌に対する抵抗性がありません。ボツリヌス菌芽胞による汚染の可能性がある食品は絶対に食べさせないようにしましょう。

ボツリヌス菌芽胞に汚染されている可能性のある食品:ハチミツ、野菜ジュース、野菜スープなど

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