一般社団法人 日本医療協会
Japan Medical Care Association

子供のうんちが赤いとき

お子さんのうんちが赤くてびっくりしたことはないでしょうか?

食べ物の影響(トマトやスイカなどの赤い色素を含んだもの)や、切れ痔による出血の場合がほとんどですが、なかには病気による血便の場合もあります。緊急な治療を要する病気が隠れていることもあるので注意が必要です。

ここでは小児科外来で遭遇することがある以下の病気について見ていきましょう。

切れ痔(裂肛)

切れ痔のことを医学的には裂肛といいます。肛門が裂けて出血を来した状態で、痔核(いぼ痔)が切れたものではありません。肛門の後方が裂けることが多いようです。

乳幼児の直腸出血の中では最も多い病気です。

1.原因

裂肛の多くは便秘が原因で起こります。

2.症状

排便後の痛みと出血が特徴ですが、痔核(いぼ痔)ほどの大量出血はありません。肛門管の裂傷は前方または後方に多く生じます。

3.治療

急性裂肛では、まずは保存的に治療します。

便秘の場合には下剤の内服や食物繊維の摂取を行います。

排便後の出血を見た場合は一度小児科を受診しましょう。

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腸重積

腸重積は発見が遅れると腸管が壊死してしまい、最終的には命に関わる非常に怖い病気です。好発年齢は生後6か月から1歳代ですが、ときに小学校入学前頃のお子さんにも起こります。

特徴的な症状は間欠的な強い腹痛です。乳児の場合は腹痛を訴えることができないため、時間の間隔を置いて泣きわめきます。またイチゴジャムのような血便が出ることも有名です。

1.原因

現在のところ腸重積の原因は不明ですが、多くの場合で発症前に何らかの感染症に罹患しており、腸間膜リンパ節の腫脹が関与しているともいわれています。またメッケル憩室など腸管の構造が関係している場合もあります。

2.症状

腸重積の症状は、間欠的な腹痛(乳児では間欠的な泣きわめき)、嘔吐、血便です。

乳児は症状を訴えることができず泣くことしかできないので、発見が遅れる場合があります。間欠的に痛みが起こるので、痛みがない間は笑っていることもあります。時間が経過すると泣く元気がなくなり、うとうととして傾眠傾向になります。

血便はイチゴゼリー状の便が特徴的ですが、血便になる前に下痢になったり、血便自体が出なかったりすることもあるので要注意です。

3.治療

時間が経つと腸管が壊死して命に関わることもあるので、緊急な治療が必要です。

治療としては高圧浣腸または手術が行われます。しばしば再発がみられるので注意が必要です。

お子さんの泣き方が明らかにおかしく、普段と様子が違うようであれば、できるだけ早く小児科を受診しましょう。場合によっては大学病院などの専門機関に紹介になります。

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細菌性胃腸炎

細菌性胃腸炎は基本的には食事で起こる食中毒です。夏場に多く、食品が十分に加熱されていない場合や、料理人の手や調理器具が汚染されていた場合などに起こります。

細菌が腸粘膜に侵入し増殖すると、細菌の出す毒素により粘膜が障害を受けて発症します。同じ食事をした集団が同時に感染することがあるので注意が必要です。

細菌性胃腸炎の原因になるのは、サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオなどです。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.サルモネラ

サルモネラは腸内細菌科に属すグラム陰性嫌気性杆菌です。主に人間、動物の消化管にいる腸内細菌ですが、なかには人間に対して病原性を持つものがあります。

人間に対して病原性を持つサルモネラは大きく2つに分類でき、一つは感染症法で3類に指定されている腸チフス・パラチフス、もう一つは食中毒を引き起こすサルモネラです。一般にサルモネラというときは後者の食中毒を起こす細菌のことを指します。鶏肉や卵で感染が起こりやすいといわれています。

①症状

8~48時間の潜伏期間を経て発症します。

嘔気や嘔吐で始まり、その後腹痛、下痢を引き起こします。下痢は非常に頻回で、脱水を起こしやすいので注意が必要です。ときに血便になります。

また38℃以上の高熱を呈すこともあります。

②治療

基本的には対症療法を行います。

抗生剤は軽症例ではあまり使用しませんが、重症例では使用します。

サルモネラに有効な抗生剤はアンピシリン、ホスホマイシン、ニューキノロン系です。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

次のことに気をつけてください。

生肉は他の食品に触れないようにしましょう。
生肉に触った後は必ず手を洗いましょう。
肉は加熱調理して食べましょう。
卵は冷蔵庫で保存し、早めに食べましょう。

2.カンピロバクター

カンピロバクターはもともと動物の腸炎や流産を引き起こす細菌として有名でした。カンピロバクターにはたくさんの種類があり、実はほとんどの動物が保菌しています。

人間の下痢から検出されるのはカンピロバクター・ジェジュニがほとんどです。鶏肉、生レバーなどで感染が起こりやすいといわれています。

①症状

2~5日の潜伏期間を経て発症します。潜伏期間が一般の食中毒に比べて長いのが特徴です。そのため食べたものとの因果関係がはっきりしないことがあります。

突然の腹痛、下痢で発症し、発熱と悪寒、倦怠感を伴います。下痢は水様便が最も多く、血便を呈することもあります。

また、まれですが感染から数週間後にギランバレー症候群を発症することがあるので注意が必要です。

②治療

基本的には自然治癒するので対症療法を行います。

重篤な場合や敗血症になった場合にはマクロライド系抗生剤を使用します。なお、セフェム系抗生剤には自然耐性があるので注意が必要です。ニューキノロン系に対する耐性化も問題となっています。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

次のことに気をつけてください。

カンピロバクターは乾燥に非常に弱いので、調理器具などはしっかりと乾燥させましょう。
生肉は他の食品に触れないようにしましょう。
生肉に触った後は必ず手を洗いましょう。
肉は加熱調理して食べましょう。

3.病原性大腸菌

大腸菌は基本的には無害ですが、なかには人間に対して病原性を持つものがあり、これを病原性大腸菌と呼びます。ただし、赤痢を起こす病原性大腸菌だけは赤痢菌と呼ばれ区別されています。

病原性大腸菌の中でもO157、O111などの腸管出血性大腸菌はベロ毒素を出すので重症化します。合併症の中で大事なのは溶血性尿毒症症候群です。命にかかわる病気なので要注意です。ここでは腸管出血性大腸菌についてみていきます。

①症状

5日前後の潜伏期間を経て発症します。突然の腹痛、下痢が特徴です。

発熱は37℃台で、ほとんどの場合高熱にはなりません。

腹痛は非常に激しく、水様便を頻回に繰り返したあとに、約90%の症例で血便を呈するようになります。血便は初めは少量ですが、徐々に増加し、典型的なものではほぼ血液が出るような状態になります。

発症後数日から2週間以内に溶血性尿毒症症候群や脳炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあるので十分に気を付けてください。

②治療

基本的には対症療法を行います。溶血性尿毒症症候群という怖い合併症を誘発する危険があるため、抗生剤の投与は推奨されていません。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

重症化すると命に関わるので、突然の腹痛と下痢が起こり、血便が多量に出るときはできるだけ早く病院に行きましょう。

③予防

次のことに気をつけてください。

生鮮食品は新鮮なものを購入し、早めに食べましょう。
生肉や魚、卵に触った後は手を洗いましょう。
適切に加熱調理してから食べましょう。
調理前後の食品を室温で長く放置しないようにしましょう。

4.黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌は人間の皮膚や鼻腔内に常在している菌です。常在している場所では影響を与えませんが、食品中で増殖するときにエンテロトキシンという毒素を生じるため食中毒を起こすことがあります。

不衛生な状態で加工されたおにぎりによるものが最も多く、仕出し弁当やケーキなどが原因になることもあります。

①症状

3時間前後の潜伏期間を経て発症します。

激しい嘔気・嘔吐や差し込むような腹痛、下痢が主な症状です。

エンテロトキシンの量によって症状の重症度が変わってきます。重症例では入院が必要になりますが、一般に予後は良好です。

②治療

エンテロトキシンに対する特効薬はないので、基本的には対症療法を行います。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

食品の冷蔵保存、調理前後の手洗いが大切です。調理前後の食品を室温で長く放置しないようにしましょう。

手指に傷や化膿している部位がある人は、絶対に素手で食品を扱ってはいけません。

5.腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオはビブリオ属に属す好塩性グラム陰性桿菌で、主に海水中に存在しています。腸炎ビブリオは溶血毒という毒素を作り出すため食中毒の原因になります。溶血毒には耐熱性溶血毒と耐熱性毒素関連溶血毒があります。

腸炎ビブリオに感染した魚介類を加熱せずに食べることで感染し発症します。感染部位は小腸がメインです。

①症状

腸炎ビブリオは6時間から12時間の潜伏期間を経て発症します。

激しい腹痛を伴う下痢が生じ、ときに血便を呈します。

通常は数日で回復しますが、免疫不全の方などでは重症化するので注意が必要です。

②治療

腸炎ビブリオは基本的には数日で自然に治癒するので、対症療法を行います。

なお、抗生剤を使う場合はニューキノロン系やホスホマイシンを使います。

下痢止めは使用しません。下痢は体の防御反応の一つで毒素を体外へ排出する手段なので、下痢止めを使用すると逆に症状が長引いてしまいます。

③予防

魚介類の冷蔵保存と、調理前後の手洗いが大切です

十分な加熱により腸炎ビブリオは死滅します。適切に加熱調理してから食べましょう。

生食する場合は新鮮な魚介類を購入し、冷蔵保存して速やかに食べましょう。

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症状の緊急性を判定する

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