一般社団法人 日本医療協会
Japan Medical Care Association

子供が便秘になったとき

お子さんが便秘になったことはないでしょうか?

便秘とは、何らかの原因により排便回数や量が減ったり、便が出にくくなったりすることを意味します。便秘は小児科で非常に多い訴えの一つです。

ただし、小児では母乳・人工栄養などの栄養法や年齢によって排便回数や便の状態は違うので、普段の状態をしっかり観察して比較する必要があります。

便秘は新生児の頃からしばしば起こるものですが、重症化してしまう場合もあります。お子さんの便秘が続くときに、もうしばらく様子を見てよいのか、それとも病院に連れて行くべきか、判断に迷うことがあると思います。

ここでは小児科外来で遭遇することがある以下の病気について見ていきましょう。

この他に、内分泌疾患や薬剤などにより引き起こされる場合もあります。

機能性便秘

便秘は小児科で非常に多くみられる症状の一つですが、その大部分は腸の異常や病気などを伴わない機能性便秘です。

1.原因

乳幼児では母乳や食事の摂取量不足による便秘が多く、またミルクアレルギーによる便秘もみられます。学童期になると食物繊維の摂取量不足による便秘が増えてきます。

さらに、学童期以降では排便習慣の乱れやストレス、腹圧不足などによるものもみられます。

2.症状

排便回数が極端に減り、ほとんど排便しなくなることもあります。排便があまりできないので便が溜まって腹部が膨満し、便塊を下腹部に触れることがあります。また腸内で便が腐敗し、おならが臭くなります。

便秘がひどくなると大きな便の塊によって排便刺激がなくなって便意が消失し、便が自然に漏れたり腸液が漏れてきたりして下痢と間違えることがあります。

3.治療

まずは直腸から便の塊をなくし、排便反射が生じる正常な腸管に戻すことが非常に重要です。新生児や乳幼児の場合は自宅で綿棒浣腸をすることができます。綿棒の先にオリーブオイルのような潤滑油を塗り、綿棒を肛門に入れて肛門管を広げるように出し入れすると排便されます。幼児以降では基本的には病院でグリセリン浣腸を行います。

乳幼児:母乳不足の場合にはミルクを追加、またはミルクに変更して摂取量を補う必要があります。ミルクアレルギーが疑われるときは加水分解乳への変更で対応します。

学童期:生活習慣を改善し、食物繊維の多い食べ物を積極的に食べさせましょう。

小児の便秘は放置しておくと非常に頑固な便秘になって悪循環に陥り、治療に難渋することがあるので、早めに小児科を受診しましょう。

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過敏性腸症候群

過敏性腸症候群はお子さんにも成人の方にもよく起こる病気です。

腹痛や腹部不快感を繰り返すことが特徴です。排便すると一気に腹痛が軽快することが多いようです。

1.原因

過敏性腸症候群の原因は不明なことが多く、病院で検査してもなかなか異常が見つかりません(基本的に器質的疾患はありません)。一時的な消化管運動の異常や腸管への負荷、心理的なストレスなどにより症状が引き起こされます。

また、感染性胃腸炎の後に生じることがあるので免疫との関連も考えられています。

2.症状

強い腹痛や不快感を繰り返し、下痢や便秘を起こします。排便によって症状は軽快します。

電車やバスの中で症状が起こると非常にやっかいです。

3.治療

過敏性腸症候群には特効薬がないので対症療法を行います。

基本的には整腸剤が使われることが多く、腹痛に対しては腸管蠕動運動抑制薬が用いられます。感染性胃腸炎とは異なり下痢を止めても問題ないので、下痢止めの薬を内服することもあります。

また生活習慣の改善、心理的サポートも大事です。

過敏性腸症候群に似た症状を呈す病気にクローン病や潰瘍性大腸炎などがあるので、症状を繰り返すようであれば小児科を受診しましょう。

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イレウス

イレウスは機械性イレウスと機能性イレウスに分けられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.機械性イレウス

機械性イレウスには閉塞性イレウスと絞扼性イレウスがあります。

①閉塞性イレウス

ア.原因

クローン病、手術の既往などによる炎症で腸管が癒着・閉塞したり、異物や腫瘍により腸管が閉塞したりすることで起こります。

イ.症状

間欠的な気持ち悪さや吐き気などで始まり、腹痛が起こります。便秘になり、お腹が膨れてくることもあります。

ウ.治療

閉塞性イレウスのほとんどは内科的治療でよくなります。

イレウス管を挿入して減圧を図り、抗生剤の投与を行います。また輸液をすることも大切です。

ただし、長期間の内科的治療で軽快しない場合は、腫瘍が原因になっている可能性があります。その場合は外科的な治療も考慮しなければいけません。

②絞扼性イレウス

ア.原因

絞扼性イレウスは腸重積やヘルニアの嵌頓で起こることが多いといわれています。

イ.症状

絞扼性イレウスでは急激な嘔吐、腹痛が生じます。消化管の血管が閉塞して壊死しかけているので、緊急な治療が必要になります。

ウ.治療

多くの場合、腸管が壊死して腹膜炎を併発しているので緊急手術の適応になります。

お子さんに急激な嘔吐、腹痛があった場合にはすぐに小児科を受診しましょう。場合によっては大学病院などの専門機関に紹介になります。

2.機能性イレウス

機能性イレウスは腹部の手術後や腹膜炎などで起こることが多く、できるだけ早期の治療が必要になります。

ア.原因

機能性イレウスの原因としては腹部の手術、虫垂炎や消化管穿孔による腹膜炎、外傷による腹腔内出血などが挙げられます。

イ.症状

嘔気や嘔吐、便秘、お腹の張りが基本的な症状です。腹膜炎を伴う場合は持続的な激しい腹痛を生じます。

ウ.治療

腹部の手術後の機能性イレウスの多くは内科的治療でよくなります。

腹膜炎による場合は緊急な治療が必要です。

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ヒルシュスプルング病

Hirschsprung病(以下、ヒルシュスプルング病)は生まれつきの便秘がみられる先天性の疾患です。先天性巨大結腸症とも呼ばれています。

腸閉塞や腸穿孔など、危険な状態に陥ることもある怖い病気です。

1.原因

消化管の動きを制御する神経節細胞が生まれつき存在しないために起こります。

肛門からS状結腸、場合によっては大腸や小腸まで神経節細胞が欠損しています。

2.症状

生後間もなくから重度の便秘になり、腹部膨満、嘔吐がみられます。腸閉塞を引き起こし命に関わることもあるので要注意です。

3.治療

基本的に外科的治療が必要になります。神経節細胞のない腸管を切り取り、そこに神経節細胞が正常に存在する腸管を口側からつなげる手術を行います。最近では開腹手術ではなく、腹腔鏡による手術も行われています。

お子さんが慢性的な便秘で嘔吐を伴うときは、早めに小児科を受診しましょう。場合によっては大学病院などの専門機関に紹介になります。

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症状の緊急性を判定する

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